はじめに
昨年の年次レポートの最初に書いた社内の「世間の状況と乖離した平穏」は28期の中ごろから大きな変化を見せました。外圧が徐々に強まり変化を促したということでしょう。なかなか自立的かつスピーディに変化できにくい素地は残したままですが、社内の雰囲気は明らかに変化してきています。29期は深刻ではなく真剣に仕事を進めてゆきます。
何年か前の経営計画の報告会でへの依存度の高さが指摘され、自分なりにはもくろみもあったのですが26期ごろから兆候のあった売上げ減少が28期は大幅に現れました。期中にもさまざまな対応は実施したのですが、人件費に代表される固定費の削減を躊躇したこと、「大口得意先」に対する売上増加のために注力しなかったことなど、現状認識の甘さが目立ちます。社内にあるPDCAのサイクルで今Cを過ぎたところであり、新しいアクションを起すにあったって、上記を肝に銘じて29期は経営を進めてゆきます。
工場の統合・移転が完了し、設備等のインフラの整備もほぼ完了し、29期を成果が実感できる期にしてゆきます。
総括
28期売上高は前年対比15%ダウンとなる5.87億円でした。大口の得意先の売上減がそのまま全社的な売上減となりました。建材販売課の売上は建設不況といわれる中、新規得意先を中心に売上を確保し、対前年比7%ダウンの4.67億円でした。
大口得意先の発注体制が変更されそのことによって受注減となることは周知のことでしたので、固定費の削減に努めましたが新工場移転に伴う設備費(減価償却費)の増加もあり、営業損益は3700万円の赤字、経常損益は2600万円の赤字となりました。決算上の利益(特に経常利益)は外部資産(主に郵政保険)の取り崩しや減価償却の見直しなどで多少の脚色は合法的に出来ます。会社の現状を正しく社内外に認知してもらうため、何より私自身に対する戒めとして上記処理はあえて27期に準じました。
限界利益率は昨年同様の値を示しており、販売製品の利益率に大きな変化は無く、上記結果は売上の減少とそれに対する固定費削減のタイムラグがあった証であり、社長として大いに責任を感じています。営業利益、経常利益ともに赤字を計上したのは会社設立以来初めてのことであり、その点でも重大なことと捕らえています。ただ、ここ数年減り続けてきた「大口得意先」の売上減少の底が見えてきたこと、28期中頃より進めてきた固定費削減策が29期に結果が出てくること、工場集約に伴うメリットが具体的に現れてきていることなど、現状売上高でも利益が出てくる体質はほぼ整ったと考えています。
29期は「大口得意先」へのアプローチの内容を吟味して、売上が増加に転じるよう働きかけること、建材販売課が獲得してきた新規取引先の売上を増加図ることが必要です。
また、前期から実施してきた固定費の削減策が誤りで無かったことを確認し、固定費の変動費化、更なる削減策の実施を行うことが重要であると考えています。
人的側面
3月に役員の変更があり、それと同時に管理課員の配置換えを行いました。役員人事の変更は私の教育力やコミュニケーション能力、リーダーシップの不足によるものであり深く反省しております。結果的には「大口得意先」の売上減少に対応したスリムでシンプルな間接部門となりましたが、大きな教訓を残した出来事でありました。
また、8月には社内の変化に対応できないベテラン営業マンが退職しました。こちらとしてはかなり時間をかけ、丁寧に指導したのですが効果はありませんでした。この退職に伴う売上低下が懸念されたのですが、結果的には変化はほとんど無く複雑な思いです。
この機会に建材販売課の人員構成を見直し、業務課員と建材販売課員各1名の増員を実施しました。建材販売課は得意先の獲得、売上高の増加に注力し、事務的業務を業務課が負担するとともに、実質的に業務課がインターフェースになる遠方の得意先に対してのサービスの向上を図るためです。2名の新人の教育には今しばらく時間がかかりそうですが、出来るだけ早い時期に成果があがるよう指導しています。
当社の人的側面の課題は単に数量的なものではなく、社内のさまざまな風土をかもし出す要素としての「人」の問題が明らかになってきました。問題を自ら捜し、他者を巻き込んで解決してゆくことや、自分が給料を払う立場で仕事をする経営マインド、突き詰めると考えて仕事をする風土の醸成が重要であると考えています。
設備・施設
28期の最大のトピックは6月に室生工場施設、12月に本社工場施設を大宇陀工場へ移転したことです。従来から標榜してきた「コンパクトで効率的な生産インフラの整備」のためこの時期に思い切って決断しました。人件費を含め年間1000万円程度の経費削減が見込めるため、室生工場跡地の売却を考えると投資額は約十年で回収できる予定です。生産設備の集約を行った結果、工場間の半製品の移動が増えプロセスの管理が難しくなっていたことに対応できるようになったり、横持ちのタイムラグが無くなり短納期の受注に対応できるようになりました。当社の強みである中板の板金加工製品がより強みを持つことになります。
機械関係の設備投資として「大口得意先」の発注品のバリエーションを増やすため帯鋸盤の更新と板金加工機(タレットパンチプレス)の導入を行いました。新型の帯鋸盤は新規受注を確保したのみならず、従来作業のスピードアップを可能としましたし、新規に導入したタレットパンチプレスは従来加工が自社では不可能または、時間が非常にかかっていた作業の省力化にも効果がありました。また、生産設備の集約により2つの工場に重複して設置していた設備の除却を行いました。予定していた立体倉庫の移設は費用対効果を考え無期限に延期しました。ただ、室内保管が必要な製品も増えていることから何らかの収納庫が必要であり29期中に費用対効果を十分考慮し建設したいと考えています。
営業活動側面
28期は変化に富んだ1年でした。8月に長年勤務していた営業課長が、同業種のグレーチングメーカーに転職した。退社するまでの前半は営業本部長自身が担当先を持たず、新規得意先の獲得活動と新しく販売出来る商品の開拓担当していましたが、担当していた既存の得意先をフォローしていく事に力をいれざるを得ませんでした。幸い担当していた得意先が当社から離れていく事はなく、お客様から、会社としての信頼を頂いている事に改めて気付きました。
28期は新規商品として各市町村での下水道マンホール蓋の承認取得活動を重点に置き、活動を行いましたが、それぞれの市町村で、色々な規制があり途中断念をしました。
新規得意先の活動は積極的に行われ、具体的成果も上がりました。橋梁用の集水桝メーカーの売上が28期中に大きく増加し、大手ボルトメーカーとの取引も始まり今後売上の増加が見込めます。27期に信用不安で取引を中止した得意先を吸収した設備メーカーとの取引を取り戻す事ができ今後売上の増加が期待できます。まmた、27期に製作した総合カタログを活用した結果、2社の新規得意先との取引が始まりました。
10月より業界経験のある営業マンをコミッションで雇い入れ、有望な新規取引先が獲得できました。
総合的には、公共投資は縮小傾向にあり、既存の得意先からの受注が全体的に落込み、その落込みを新規得意先の売上でカバーしましたが、前年度27期の売上実績を7%下回りました。
29期は加工設備の増加で可能になった新規加工品のアピールを中心に28期で得た新規得意先の売上拡大を進め、短納期と複合加工が可能になった新工場のメリットを前面に出して、新たな得意先の獲得と新たな製品開拓に力を注いでまいります。
製造活動側面
ISO9001の新しいバージョンへの移行は順調に完了し、最初のサーベイランスも完了しました。規格が要求している顧客満足度の向上、プロセスをマネージメントすること等まだまだ取り組むべきことは多いのですが、当面足元の不適合対応に追われているのが現状です。発生した不適合の対策のスキルは徐々にあがっています。特に「人」が起す不注意による指示・製作ミスにはOA機器の活用や治具の改良など根本対策に近づきつつあり、事務処理の流れを基本から見直す機会にもなっています。製造課員の製品実現能力も確実に向上しており、顧客の要求事項を正確に生産現場に伝えることが管理課に求められるようになってきました。製造課では工場の集約に伴いますます多能工であることが重要になってきました。多くの生産設備を自在に活用する人とその人がセットしてくれた設備を稼動させる人、この二極化を進めざるを得ません。
工場棟ごとのプロセスをまとめて管理できる人材を育て、製造指示の流れをスムーズにすることが課題です。同時にタイトな人員配置のなか、バックアップ体制をどう構築するかも重要な課題として取り組んでゆきます。管理課では現在二元化している製造指示を一元化すること、OAを活用した指示書作成システムに取り組もうと考えています。
製造課に新たな製品の製造指示仕事を流すとき、単に指示書を手渡すだけではなく、製造設備の能力や条件設定、加工終了後の検証活動の方法・手順、検査治具の考案等を生産現場の人と共に作り上げなければなりません。28期はこのことに対していくつかの成功例がありました。反面、コストダウンを期待して進めた、ある工程の改善で上記の幾つかの部分で十分な検討がなされなかった結果大きなクレームも発生しました。29期もさまざまな工程の改善に取り組みますがメリットだけではなく、起きる可能性のあるリスクについても検討を行い、効果の高い工程改善を進めてゆきたいと思います。
苦情(クレーム)に関しては、26期36件、27期45件といった結果でした。
特に目立ったのが10月〜11月にかけて、同一得意先に対して苦情が多発した事です。この様に苦情が増加した原因としては、製品の変化(顧客の品質要求内容の変化)に関して無頓着であったこと、報告書を未完了のままに放置していた事で、改善対策が遅れた事にあると私自身反省致しております。今年は、品質システムを確立し、実行し、維持する為に、毎日朝一番と昼に場内の巡回を行い、毎週一回(月曜日)管理台帳のチェックを行います。そして内部品質監査のレベルをアップする為に、内部監査員の再教育を行います。
その他
28期も残念ながら3件の労災事故が発生しました。内1件は新入社員が事務所移転時に罹災したもので、他の2件も機械のメンテナンス時、清掃作業時に発生しました。非定常作業時の危険性の高さを思い知らされました。発生した事故の対策は十分に行いましたが、今後は発生した事故の教訓を社内に確実にインフォメーションすること、KYTを機会あるごとに社内に定着させることが重要であると考えています。
ISO14001は新工場をサイトとした特別審査が完了し、継続して登録を維持することが出来ました。今後も環境に過度の負荷をかけない事業展開と周辺住民との関係維持のためにマネージメントシステムを運用してゆきます。 |