29期の振り返りと30期の展望 (社長 植平 修)

はじめに

計画を立て、実行し、検証し、新しい計画を立てる。PDCAの流れですが、なかなか先が見通せず、計画通りに進まないことが多く、計画を立てることそのものに魅力を感じなくなっています。しかし、望まなければ叶わないことも事実であり、簡単にしらけてしまわず、しぶとく今年も「目論見」をもって行動したいと思います。
29期は工場移転を完了し、製造面でのインフラ整備が完了し、今後の私たちの会社の行く末を占う重要な期であったと思います。
27期頃から見え始めた売上高の減少傾向に対応して固定費削減に手をつけましたが、後手になった感は否めず28期は会社創立以来はじめて経常、営業ともに赤字を計上しました。社内にあった「何とか誰かが・・」といった空気はかなりなくなり、良くも悪くも緊張感が生まれたことは確かです。良くも悪くもと書いたのは必要な風土改革ではあったものの、出来上がった緊張感が恐怖感に成ってしまったところもあって多少士気が低下した感じもあったからです。29期はまず利益を確保する為になりふりかまわず様々なことに手をつけました。不要不急な保険、管理諸費の見直しや機動的な外注への発注によりまずは経常利益の黒字を計上することが出来ました。残念ながら営業利益は赤字でしたが、期後半から経費削減の効果が現れたこともあり、現状の売上げがベースと考えると現有勢力、現有設備を維持しながら30期は営業黒字を計上できるめどが立ったと考えています。
ただ、この2年ほどで材料費は約30%上昇しており、大口得意先に加工費の値上げをお願いしましたが、先方の苦しい状況もあり、実現しませんでした。材料費は今後も上昇が見込まれており、利益確保の大きな障害となることが予想されます。現在、鍍金加工費を含む外注費などの設定が固定化している感は否めません。仕入先を大幅に増やして鋼材の価格が下がるわけではなく、かといって得意先に値上げを飲んでもらうことも難しいのですが、窮状をよく説明して30期の前半には全面的な価格の見直しを行う準備をしています。ただし、軸足は30期も自社で行動可能なことについて地道にコストの削減に置き、その意義は今後益々高まって行くと考えています。

財務的側面

29期は今まで以上に「利益」ということにコミットした期でした。当たり前のことですが、仕入先、銀行、得意先とも我社の財務内容に強い関心を持ってくれています。財務評価の悪化は仕入れの困難さや値上げ、金利の高騰を生み、財務的な悪循環が始まります。連続した赤字計上は何が何でも避けなければならないのです。
27,28期が赤字になったのは@売上高の減少が経費の削減施策の実施以上に進んだこと、A工場移転によるメリットが現れるのが思った以上に遅れたこと、B材料費の高騰が続いたこと、C営業員をはじめ社内の人事に大きな変化があり、新しい体制に馴染むのに時間が掛かったことなどが上げられると思います。29期はBの原因を除きほぼ「落ち着き」を取り戻しつつあると考えています。要員の確保、設備・施設の整備などもほぼ完了し、少なくとも現在の製品・要員・設備で29期並の売上高を確保できれば営業利益が確実に出せることは確かになりました。今後はいかに売上高を確保して行くかが大きな焦点になっています。29期から社員に対して財務の完全公開に踏み切り、毎月財務状態の説明をするようになりました。社員全員に会社の状態を知ってもらい行動の変容をお願いしました。効果はまだ現れているとは思いませんが、これから徐々に現れると考えていますし、今後も正確に会社の状態を開示することは必要だと考えています。製品個々のコストダウンは経営者がいくら血眼になっても現場の作業者が変わらないと実現しません。コストダウンについて全員の意識が替わることは幻想かもしれませんが、こちらとして出来ることはしていきたいと思います。
与信管理については細心の注意をはらいましたが1社不渡り事故が発生しました。金額は少なかったのですが、大きなダメージでした。また、上位得意先にも財務内容の怪しいところがあり、急激に売上を絞りました。今のところ実害はありませんが、29期の売上高減少の大きな原因になりました。30期は同一製品を優良な先に出荷できるめどもたち売上げの回復をもくろんでいます。

販売側面

K社の売上高は28期の1億2000万円から21%増加し、1億14500万円になりました。
材料の価格上昇があり、利益率は低下しましたが、すばやい対応と加工製品のバリエーションの多さが売上げの増加に結びついたと考えており、今までの戦術が功を奏しました。
反面、建材部門の売上げは大幅に減少しました。大きな要因として、下記のように人的なもののほか、毎年当社の売上げ2位であった顧客が信用不安により7月より取引を停止したこと、外注先の変化で品質低下によるクレームが多発し、5位であった得意先が前年度対比19%に落ち込んだことが大きく響き、28期に対して25%の大幅なダウンとなってしまいました。 
29期も新規得意先の獲得に力を入れるべく努力しましたが、営業マンの欠員、教育時間を割かれたことなどで28期のように獲得件数、獲得金額がのびませんでした。28期には経験のある営業マンをコミッションで雇い入れ、有望な新規取引先が獲得できましたが、29期には目標の金額までは達することが出来ませんでした。勤務地が遠隔であることもあり的確な行動管理ができず、契約そのものの見直し時期に来ていると考えています。新規に開拓できた有力な得意先は数社でしたが、今後大きく売上げの増大が見込める顧客です。29期に取引を中止した得意先の商権を引き継ぐ顧客との取引も始まりました。また、目標に掲げていたスリーピングユーザーの掘り起しにも一軒成功し、現在コンスタントに注文をいただいています。また、6月には、風力や太陽光といった自然エネルギーを電力に変換する発電機メーカーの奈良県代理店となり、時代を見据えた商品として、また新しい業界への第一歩として今後は教育施設等へ営業をかけて行きたいと考えています。
最近農作物の野生動物による食害が急増していることから、既存の設備で製作できる農業用柵を開発し、販売を開始しました。現在はまだチャネルを模索している状況ですが、開発に当たって県の農林関係技術者のアドバイスをうけ、完成度の高い製品ができたと自負しています。30期は引き続き販売チャネルを開拓します。
個人需要を考え、手作りのエクステリアグッズなどを製品化することにも着手しました。多種多様な鋼材在庫を使用して付加価値の高いものが製作できました。現在表札やベンチ,フラワースタンドなどが完成しており、門扉なども製作する予定です。これも今期に販売のチャネルを開拓しながら開発を進めます。

売上げ構成を見ると29期に取引のあった160社の内、全売上げに対して1%以上の取引額は20社に過ぎず、この20社で売上げの80%を確保しています。このことから(1)重要顧客への重点的なニーズの掘り起こしと動向の注視、(2)大口の売上げを見込める製品ではなく、年間数100万程度の売上げが見込める製品を複数開発することの意義、(3)売上げ下位ではあるが有望な得意先の絞込み、などがますます重要であると考えています。当社の強みである素早い対応を心がけ、別注品の短納期納入などで顧客満足を図り、今まで同様 新規顧客の開拓に力を注ぐと同時に新しいマーケットへの模索を行います。

人的側面

29期は5名の退社がありました。28期の9月より新人の営業マンを雇い入れ、29期より一人前に活動してくれると期待していましたが、自己都合のため一月に退職しました。2月に雇い入れた営業マンも、複雑な仕事に対応が難しいと判断し退職を勧めました。社風に合い、希望する能力を備えた人を雇い入れる難しさを深く思い知らされました。2名の新人営業マン教育にかけた時間が惜しまれると同時に、得意先へは担当者の相次ぐ変更でご迷惑をおかけすることとなりました。ただ、増員した業務課員が成長してくれ、欠員の営業マンをフォローしてくれました。業務課員の増員(28期)と精力的な活躍で営業業務は順調に拡大し、30期は建材販売課員の補充は考慮していません。
製造課は各自個別の理由により3名の退社を受けて1名の増員を行いました。順調に仕事を覚えてくれ、現在期待以上の働きをしてくれています。3年前(2000年度)に比べると製造課員数は40%程度へっており、期末にはかなり納期が逼迫しましたが、皆良く頑張ってくれ、外注に依頼したこともあり、乗り切ることが出来ました。29期の期末2ヶ月ほどが製造部の生産力の上限と考えると、損益分岐点売上を確保しながら現有勢力で生産することの問題点と可能性が見えてきたと思います。
30期は永年製造主任として活躍してくれたベテラン社員の定年退職もあり、製造課の人員配置をさらに見直してゆく必要があります。派遣工員や外注先の選定・確保などを視野に入れた適正人員の配置が必要であると考えています。

製造設備、施設側面

設備の変化として29期はシャーリング機の更新を行いました。9mm加工を行ってきた機械の更新でしたが、これを機会に3m幅12mm厚の加工が可能になるよう考えました。これで切断から曲げ加工まで3m幅の対応ができるようになりましたが、材料のハンドリングや鉄板在庫の増加、スクラップの多さなどで十分稼動しているとは言いがたい状態です。30期には材料置き場の整備を行い、稼働率を上げることが必要だと思っています。
28期に導入したタレパンは稼働率を増しましたが、故障が続発しました。程度は良いとはいえ中古機であり、従来薄板加工を主に行っていた機械なので細かな故障が一巡するまでは致し方ない面もあります。誤った使用法によって発生した故障はほとんどありません。
29期はユニットワーカーの稼働率を上げるために積極的に金型を入手しました。このことで従来以上に様々な加工が可能になりましたが、本来ユニセット金型で加工したほうがコストダウンにつながるような作業もタレパンとユニットワーカーに流れるようになりました。「楽」(体が楽、金型セットが簡単、精度管理が簡単)ということでコストが省みられない状態は今後改善しなければならないと考えています。
製品のモデルチェンジが原因で稼働率が極端に減ってしまった溶接ロボットをプラズマ切断用に改造しました。厚板切断が可能になり、切断面の品質向上や仕上げ時間の短縮などの効果がありました。また、29期後半に受注した新規の厚板部品の加工も可能になりました。今後も稼働率が低下した機器の有効利用を考える必要があります。また、榛原工場に残してきた遊休機械は29期に全て処分しました。
場内の整備は部品運搬の安全性確保の為A,B棟間の通路の舗装と路上駐車を無くす為駐車場の拡張を行い、進入路を新設しました。下水道の供用開始に伴いトイレ設備の水洗化も完了しました。懸案であった町道部分の舗装工事も完了し、場内の整備は一応の完成をみたと考えています。

前ページ

トピックス会社案内会社地図取扱製品案内お問い合わせ