30期の振り返りと31期の展望 (社長 植平 修)

はじめに

巷では経済の回復基調が取りざたされ、目覚しい躍進を遂げている企業が数多くあります。しかも、同一業種の中での2極化がより鮮明になってきました。昨年、機会を得て見せていただいた東大阪のS社は業種・業態が当社とほぼ同じにもかかわらず、数10倍の経常利益を安定して計上していました。明暗の差は企業としてやって当たり前のことを確実にやってきたか、また、そのスピードとレベルなのだと感じています。28期から急激におきた環境変化の中で、残念ながら我が社は変化に対応するスピードの遅さを露呈しました。ただ、徐々にですが確実に変化してきた実感もあり、その成果も数字に表れるようになってきました。現在会社を取り巻く環境、特に材料の高騰や、公共工事の減少などの要因は自社の努力だけではどうにもならないものですが、嘆いていても始まりません。

要員の確保、その教育・訓練や生産設備・施設がほぼ整いつつあり、それらを活用して当たり前のことをよりスピードアップ・レベルアップして行うことが31期も重要です。

企業として当たり前のことを当たり前にし続けられる会社を標榜して行きます。

総括

30期の売上げは一般建材売上げが約6%、K社売上げが約40%伸び、28期の水準となる5億7000万円となりました。全体売上高としては29期に比べ約16%の上昇になりました。28期より進めてきた固定費の削減策も成果が目に見えるようになり、大幅な原料高の中、営業利益926万円・経常利益1189万円が計上できました。

30期は脱土木資材・脱土木マーケットを掲げて行動してきましたが、まだ全体的に大きな成果は出ていません。ただ、S社の受注増加(機械部品)や経営革新事業として取り組んでいるメタルワーク、野生動物の食害防止機器の開発やWEB、DMを活用するための取り組みなど、新しいマーケットへのアプローチは確実に行われました。

28期から兆候のあった鋼材の値上がりは30期に急激に進みました。ちなみに29期は1,334t7000万円余りで仕入れましたが、30期は1,64011980万円で仕入れました。30期中に鋼材の平均仕入れ単価は40%以上上昇しました。売上げの伸びに伴い仕入れ量が増加するのは致し方ないのですが、29期の平均仕入れ価格で30期の鋼材仕入れができたとすると約3300万円が利益になったはずでした。得意先に対しても粘り強く値上げ交渉を行いましたが、材料費の値上がり分を転嫁できたとは到底いえません。31期もさらに鋼材の値上がりは続くと予想され、今後も値上げの交渉は続ける必要があります。ただ、ここに来てそろそろ値上がりにも頭が見えてきた感もあります。また、巷で問題になった供給不安は我が社においてはなく、従来から行ってきた仕入先との関係強化策が正しかったことが実証されました。いずれにしても当社の製品自体の付加価値の低さ(材料費比率の高さ)を改善するためにも脱土木資材・脱土木マーケットを今後もスピーアップして推し進める必要があります。

社内にISOの仕組みがほぼ定着したこと、外部審査の費用対効果を考え、99年から取り組んでいたISO規格の維持は9001、14001共に自己宣言に移行しました。最新の規格を社内で維持していますが、「外部審査ウケ」を気にすることなく社内で本当に必要な記録や文書管理を行い、不適合を減らすと共に不適合から学ぶ仕組みにしてゆくことが今後重要だと考えています。

財務的側面

売上高が伸びた事に関連して、完全な変動費であるメッキ加工費以外は様々な経費支出で改善が見られました。特に電力費や消耗品費は大きな減少がありました。発送配達費や通信費、外注加工費など従来変動費と見て売上げ増加に伴って増加するものと考えていたわけですが、その考えも間違っていることが実証されました。まだまだ頭を使えば減らせるものがあるようです。ISOの自己宣言移行に伴い管理諸費も大幅に減少しました。

31期はより一層細かに経費の見直しを行い、支出の削減に努めます。

遊休地となっていた旧本社工場は30期に2件の賃貸借契約を結び、経常利益の増加の主要因になりました。旧室生工場は室生村との交渉が先方の理由(財政難、合併問題)で白紙撤回となりました。売却益を見込んで工場移転を行ったわけではないので慌てる必要はないと考えていますが、31期は民間を含め情報収集に努め、引き続き売却を探っていきます。31期の改善要素として、大型機械のリース終了が5月にあります。減価償却も31期は約300万円改善します。外注費や人件費も人的側面に書いた社内の要員の機動的な対応が軌道に乗れば改善する余地は大いにあると考えています。

販売側面

31期のK社の売上げ上昇はまさにK社の生き残りをかけたがんばりの成果であったと考えています。各地にあったOEM先の整理も今後一層進むと思われ、受注は伸びると考えていますが、加工単価は製品価格の下落に伴い今後一層厳しくなることが予想されます。また、製品の開発コンセプトが「シンプル=安価」に急激にシフトしてきており、加工数自体が減少すると予想されます。先方からは製品販売を行い、減少分を補うよう言われており、31期は新しい取り組みを行わなければなりません。K社に対しても値上げ交渉を行いましたが、容易には進みませんでした。公共工事資材は数年前に予算化され、予算化されたものを変更すること自体が非常に困難であるというのが先方の言い分でしたが、各事務所が独立して利益を出すために必死に取り組んでいる様子がうかがえました。特に乖離が激しい鉄板加工品や黒皮の成型材加工については粘り強く交渉し、一応の値上げを了承していただきましたが、31期も引き続き交渉する必要があると考えています。

30期の営業部売上高は目標3億7千500万円に対し、契約実績で3億8千4百万円と目標を達成することが出来ました。営業部の人員増がなく、目標をクリア出来た事は意味の在ることでした。内容的には円形水路製品の売上げが約11%の伸びがありました。これは取引開始二年目を迎えたP社から本格的に受注できるようになった事、S社のグレーチングパネルを競合他社と二分して納入していましたが、全面的に当社で受注できるようになったことが主要因です。落石防護柵は、大きな物件が有った事と製品がより高価な改良型に切り替わって行った為、約62%の伸びがありました。また補強土工法資材は、S社の方針変更で売上げを見込めなくなりました。しかし、それに変わる新しい分野の金属加工商品をS社から受注出来る事となり、今後の伸びに期待している所であります。また、グレーチングの部門は地方自治体の財政改善を優先した公共事業の絞り込み等、依然として厳しい状況が影響し、18%のダウンとなってしまいました。

当社の顧客は、大半が遠方である為、電話での見積もり・納期返答・クレームの受付・提案などが顧客満足を図る上で重要なウエートを占めています。業務課員の質の高い対応が、そういった遠方のお客様に満足を与えていると考え、30期は継続的にIT教育を受講してもらいました。IT教育は業務の効率化を図る上で欠かせないものでありますが、自由な発想力を身に着けることによって新商品の発見にも役立ててもらいたいと願っています。ホームページを持つことが企業のステイタスであった時代から、今やホームページは企業の顔とも呼べる重要な役割を持つようになってきました。更新や新商品の掲載などがスピーディーに行われる事により不特定多数の顧客ニーズを拾い上げることが出来ると思います。

31期は、「脱土木資材」の一環として、新たな分野の商品を6件ホームページにアップするという目標を掲げました。様々な商材についてまず前向きに新しい仕事として取り組む事によって、新たな発想がそこから生まれて来ると考えています。こうした発想力、そして対応力と適応力は今の営業部員にとって必要不可欠な資質あり、問題解決能力もこの様な経験から養われるものと思います。

30期の大幅な原材料の高騰による販売価格の値上げ交渉を行い、期中に2度の価格改定をしましたが、上昇し続けている材料価格に追いつけていないのが現状です。31期は市場の動向に更に注意を払い、販売価格の見直しを進めて、適切な利益確保を行って行きたいと思います。

人的側面

30期は新規の雇用は製造課の1名のみでした。機械操作にもすぐに慣れ、すでに重要な工程を受け持ってくれています。12月には製造課で退職者があり派遣社員で補充しました。売上げ上昇に伴って外注加工費や外注賃金(派遣工員)の費用が上昇することが予想されましたが、実質的には社内の加工比率が増え外注費は減少しました。また、工場施設が一本化された事に伴い従来からの懸案であった「K社とその他」という作業フロー(大口得意先であるK社の製造に携わる要員が固定化し、受注の一時的なオーバーフローに対応できていなかった)を改善し、製造課の中で流動的な要員配置が可能な仕組みにしました。31期は本格的に要員の教育訓練を行い、柔軟な製造体制を構築します。

経営革新事業の認定を受けたメタルサインには2つの大きな目論見があります。一つは製造課に個人商品を作っていくデザインを含めた技術蓄積、もう一つは事務所内の一層のIT化です。30期は社内の事務要員に積極的にIT研修を受講してもらいました。事務作業の高能率化にITは避けて通れないところであり、間接部門の合理化を進めるためにも必要な研修であったと思います。30期中にソフト・ハード共に整備したので31期はDMやHPの企画やデザイン・更新を社内で行い、カタログのデジタル化、少量多品種の印刷物作成を社内で行えるようにしたいと考えています。

製造設備、施設側面

工場内設備・施設の整備が一応終了したことを受け、30期は大きな設備投資はありませんでした。期末にヤードの拡張工事(約180坪)を行い、作業性の向上と整理の為に仮設の倉庫を設置し、A棟、荷造りヤードの製品を移動しました。

製造設備も金額の大きな設備導入はなく、遊休設備(ロボット用ポジショナーやドリルマシン)の撤去を行いました。

鉄板の曲げ加工は徐々に複雑化、高精度化しており、NCバックゲージの必要性を感じており、現有の能力と同等以上の中古機があれば、更新したいと考えています。現在の曲げのプレスはEX加工時の金型交換の時間ロスを短縮するため、移設する予定です。電力費は電灯設備を変更したことや従業員の省エネ意識の向上から30%近い減少になりました。これも工場設備を統合した効果だと考えています。

K社製品のバリエーション増加に伴い金型を2種新作しました。

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