| はじめに
巷では景気の回復が株価、物価、大企業の業績などで確信に近いものになりつつあります。しかし、景気がよくなるというのはいったいどういう状態を言うのでしょうか。何もせずにじっとしていても売上げが上がったり、良くない物もどんどん売れるようなことでしょうか。
業績はいつの時代もその行動の正確な成果として現れてきました。「何とかなるだろう」とじっとしていたから、2002年は大きな赤字が出たのです。安易なイメージに惑わされることなく今年も地道に私たちにしかできない努力を重ねることだけが業績の向上に結びつくのです。
結果だけがクローズアップされていますが、トヨタは私たちが想像もできないような努力を続けているでしょうし、多くのメーカーや銀行もそれぞれ血のにじむような行動を続けて成果をやっと手にしつつあるのでしょう。環境の変化になかなか対応できず、変化する事を恐れる零細企業の体質が景況感の差に結びついているのだと思います。
総括
31期の売上げは前年対比で一般建材売上げが30期とほぼ同額の3億8105万円、K社売上げが約136%伸び2億6740万円、売上げ計は28期の水準となる6億4800万円となりました。全体売上高としては30期に比べ約12%の上昇になりました。利益の確保には不利な状況でしたが、29期より進めてきた固定費の削減策も成果が目に見えるようになり、営業利益約3500万円・経常利益約4000万円が計上できました。
期の前半は材料費の上昇が続きましたが、予想していたとおり値上がりは一段落し、ほぼ想定していたレベルで推移しました。ただ、まだまだ原材料費の原価に占める割合が高く予断を許しません。ちなみに31期は1,643tの鋼材仕入れを行い、平均購入価格は81,600円/tでした。30期はほぼ同量を平均73,000円/tで購入していますので、材料費の上昇金額は1400万に上ります。(29期から30期にかけての上昇額は3350万でした)ただ、31期は材料単価の高い、外形寸法加工済み板材の購入比率が上昇した事を考えると、前述したように材料費の上昇も先が見えてきた感があります。今後、メッキ加工費の上昇が予想され、このことについても何らかの対策が必要になってくると考えています。
材料費の上昇もここに来て一服した感はありますが、下落するには至っていません。材料費の価格に一喜一憂すること自体、あるべき姿ではないと思ってはいますが、今期の利益確保のためにも注意深く材料価格の動向を見なければなりません。
31期の増収はK社の様々な営業努力による災害特需と考えています。増収について我社が能動的に努力した成果ではないと考えています。しかし、過去に経験したことのない忙しさを残業、外注、派遣社員の活用など変動費的な人件費で乗り切ったことや、働く人がそれぞれの責任を全うし、大きな不適合を出さなかったことなどは私たちが自分の行動で勝ち取った成果であると胸を張ってもいいと思います。このことで一定の成果が出せたことは、売上げの減少にも辛抱強く耐えていける体質を作り上げる事を重点課題として取り組んできましたので大きな成果です。
28期(2002年度)は営業、経常共に創業以来の赤字を計上した年として深く記憶に残っています。当時の財務内容と比べると上記の努力がいかに行われたか鮮明に表れています。
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金額単位千円
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28期(’02)
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31期(’05)
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増減
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売上高
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586,639
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648,264
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111%
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棚卸資産
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81,588
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101,317
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124%
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製造原価
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352,510
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398,330
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113%
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材料費
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105,723
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179,423
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170%
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(重量t)
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1,599
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1,759
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110%
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メッキ加工費
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70,363
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93,138
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132%
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(重量t)
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1,741
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2,159
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124%
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労務費(工場)
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57,976
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37,561
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65%
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一般管理費
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167,540
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140,900
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84%
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営業利益
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-36,216
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35,084
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71,300
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経常利益
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-25,357
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41,992
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67,349
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売上高は11%伸びましたが、労務費、一般管理費共に大きく減少しています。製造原価は13%増加しましたが、材料の購入量が10%増加、何より価格上昇により購入金額は70%上昇しています。メッキ加工費は売上高の上昇を受けて32%上昇していますが、販売製品の構成が変化したことも影響しています。これらの実績は各部門でそれぞれ細かな工夫や節約、真剣な取り組みが行われた事を力強く物語っているのです。
今年も地道に能動的な努力を続け、よりレベルの高い「耐えうる体質」作りを行うことが重要であると考えています。
財務的側面
様々な財務指標は非常に優良な数値を示しています。特に安全性を示す数値は同業同規模の会社の平均値を大きく上回っています。しかし、私たちのような小さな会社において、あまり大きな意味を持たない指標であることも事実です。実際は長短借り入れ額以上の現預金を確保しつつ、効率的な資金運用ができる状態を維持することが重要です。
4年前に事業所の統合という、わが社にとっては大事業を行い、その投資額をすべて借り入れでまかないました。移転費用は約1億8000万、当初は5年で完済する計画を立てていました。その後売上高や利益に関しては厳しい時期もありましたが、借入金の返済を最優先で進め、31期末で借入金は移転前のレベル以下になり実質的に完済することができました。移転が正しかった事を財務的にも証明できました。
従来から標榜している「手形商売」からの脱却も忘れてはなりません。
現金取引のマーケットで販売できる商品開発と販売方法の確立が、すなわち手形商売の世界からぬけだすということなのですが、商品の構成、販売法など具体的に会社の変貌につながります。
販売側面
建材販売
第31期は売上目標3億8990万円に対し、実績が3億8105万円、達成率は98%となりました。また、昨年度対比としても99%の達成率となり、小幅ながら達成することが出来ませんでした。製品別では落石防護柵が11%、張出し歩道が12%、それぞれ売上高の伸びがありましたが、グレーチングが7%、円形水路製品が9%それぞれ減少しました。
落石防護柵の伸びは、新タイプの改良型に完全にモデルチェンジしたことによる販売価格の増加と、土砂災害復旧工事の増加によるもので、張出し歩道はホームページを見て設計の依頼や見積もりが増加し、売上げの増加につながりました。グレーチングと円形水路の減少は、道路関連の公共事業が縮小した為と考えています。
営業人員的には、10月一杯をもってコミッションの営業マンを、様々な理由で解雇しました。売上金額は縮小するものの担当していた得意先はI社が一括して販売窓口となり引き継ぎました。
31期は脱土木資材の一環として新製品を考案し、ホームページに掲載する目標を立てていました。結果的に2つの新商品を掲載することができました。また、ネットでの問い合わせ件数が増える事に対応して、カタログや図面データを整理し、メールやCDで送付できるようにしました。カタログの印刷費用や更新の手間を考え、今後もカタログのデータ化を進めて行きます。
一昨年より新製品として投入したメタルサインや猪捕獲檻なども売上金額としては少ないながら、コンスタントに販売できる項目に加わりました。特にメタルサインは受注システムも含めて製品開発を行ったもので今後の製品開発の規範ができたと思っています。
害獣捕獲檻などが売れる理由は、顧客が抱える問題や課題などのニーズを商品に反映できた結果であると考えます。今後も顧客が抱える課題に対し、自社の総合力を駆使して創造的な解決策を商品に反映させた新製品を提案して行かなければなりません。
本年度も引き続き、新製品の考案に力を注ぎます。
製造直売
前述したようにK社売上げが約136%伸び2億6740万円となりました。何度も言うようにこれはひとえにK社の営業努力と災害の多発が要因であり、我社が主体的に勝ち取ったものではないと考えています。ただ、今までに経験したことのないほどの忙しさが夏から秋にかけてあったにもかかわらず、皆さんの知恵とがんばりで大きな不適合もなく、納期遅れもなく乗り切れたことは胸を張ってもよいでしょう。今期も昨年の積み残しの発注がほぼ同量あるとのことです。昨年の実績を自信にして乗り切って行きたいと考えています。
また、今期はエキスパンド加工で新しいプロジェクトが始まる可能性もあり、この件に関しては積極的に営業を進めようと考えています。
メタルサインはS社から継続的に注文をいただけるようになり、この取り組みの派生製品といえるようなエクステリアの加工品も受注しています。しかし、当初の目論見であった現金・直売についての取り組みはできませんでした。今期は、製品のサンプルも厳選されたものが出来上がり、DM作成、送付先の選定にもめどが立ったことから、32期はホームページの更新、近県からDM発送など具体的な行動に移ります。
人的側面
4月と9月に業務課の社員が突然退職し、製造課でも退職者が出ました。社員間のコミュニケーションの行き違いや、社員個人がやりたいことと会社が求めていることの差など、もう少し丁寧なすりあわせが必要だと感じました。経営者としても具体的に要望や思いを話し、悩みを持っている従業員からも気軽には話せる状態を作ること、行き違いや、差を埋めるために介入する必要性を感じています。日々の業務がハッピーにこなせなくては成果も上がらないからです。
工場内人員の配置の流動化については31期からの課題として取り組み、一定の成果は出ましたが、32期も引き続き取り組んでいきます。
また、新しい販売管理ソフトと最新のハードの導入を期に、事務所内の作業についても見直す必要があると考えています。漫然と作業を続けるのではなくプライオリティーと作業が生み出す価値を基に、間接業務もまだまだ手をつける余地があります。お客様に対するサービスの向上とスピード、正確さ、これらを両立させながら効率を追及することが重要であると考えています。
製造設備、施設側面
31期は大型のリース物件の支払いが殆ど終了しました。31期は新規の設備を導入することより、工場内のスペースを有効利用するため遊休機械を処分する事に主眼を置きました。旧式の大型プレス2台、油圧プレス1台、溶接専用ロボットを解体、売却しました。機械がないとできない仕事が多いのでどうしても機械が遊んでいることにも寛大になってしまうのですが、仕事の内容が変わるにしたがって今後も見直しが必要になると考えています。作業の効率化を図るため、32期早々にも工場内の機械レイアウトを変更する予定です。
また、メッキ品の溶接作業が増えたため、作業者の健康を考え局所排気装置を2箇所に設置しました。安全確保と作業環境の改善には今期も積極的に取り組んでいきます。
事務所では販売管理システムの更新時期になり、オーダーメイドのソフトを汎用ソフトに変えました。またこれを期に最新のハードを導入しました。
31期に新たに購入した設備は鉄板の曲げプレス(NC付き)のみです。多工程の曲げも当ての調整をいちいちする必要がないので、作業効率の向上と精度アップにつながっています。
31期後期に、場内においてあったフォークリフト(植平物流サービス所有)が2台も盗難にあうという事件が起こりました。場内のセキュリティーに関して、事務所以外はまったくの無防備な状態でした。今後製品、材料が盗難にあう可能性もあり、何より支給された資材について万全を期すため、事件直後にヤード全体を網羅するセキュリティーシステムを構築しました。
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